レイプが絶えないアメリカ
FACTS;
- アメリカの大学生の5人に1人が在学中にレイプの被害にあっている
- そのうち、被害届を大学やその他の組織に報告する学生は全体の14%しかいない
- 被害届けを出さない理由は、加害者からの復讐を恐れている(40%)、ほかにはどのように被害届を出せばいいのかがわからない、証拠が十分にない、友人や家族にレイプされたことを知られたくないから
(参考;(http://apps.washingtonpost.com/g/documents/local/wh...
ドキュメンタリー映画「The Hunting Ground」をみて
上記に示した通り、アメリカの大学では、レイプが非常に深刻な問題となっています(※被害者のほとんどが女性)。そのため、それらの規制を目的としたイベントが大学内で行われることもしばしばあり、数日前にはレイプをテーマにした「The Hunting Ground」というドキュメンタリーが上映されました。その上映会に参加したことで、アメリカに存在するレイプ文化に対してより強い関心をもち、この問題について知らない多くの人にこの事実を知ってほしいという思いからこの文章を書きはじめました。
この映画では、アメリカの大学で多発するレイプ被害の現状と、名声や地位を保守するために、性的暴行の被害を必死に隠蔽しようとする大学と被害者の闘いが描かれています。その一例として、ハーバード大学やイェール大学などが、性的暴行事件によって多額の寄付金を失うことを恐れ、事実をひた隠しにしている様子や、スポーツの強豪校が試合に勝つために選手の性的不祥事をもみ消すような事例が紹介されいてました。
例えば、フットボールの名門フロリダ州立大学では、フットボール選手が女子学生をレイプしたにも関わらず、選手は何の罪にも問われませんでした。この選手は、2013年にハイズマン賞という大学アメリカンフットボールで最も活躍した選手に贈られる賞を受賞しているほどの有名選手です。レイプ被害が報告された際、被害者は「うそつき」「ビッチ」「やりマン」などとSNSでののしられ、フットボールファンからは数多くの嫌がらせや暴言を受けたそうです。そして、あたかも悪いのはこの女子生徒であるかのように社会は彼女のことを攻め立てました。大学側も、チームの勝利に大きく貢献し資金を集めてくれる選手をわざわざ罰しようともしませんでした(同選手からレイプ被害を受けたという女性はほかにもいるにも関わらず)。現在でも、この選手は法的に罰せられていません。
そのほかにも、レイプを報告した後にまわりから非難を受けたことで精神的に病み自殺をしてしまった女子生徒のエピソードや、被害を受けた後に怖くてキャンパスを歩けないといった生徒の話が取り上げられていました。これらの被害者が共通して述べていたことは、「レイプを受けたことよりも、そのあとの大学側や社会の対応によって精神的なダメージを受けた」ということでした。お金をとるか、生徒の安全をとるか。これは多くのアメリカの大学が抱えている問題だと思います。
私の通うオレゴン大学では…
現在私が留学中のオレゴン大学でも、大学でのレイプ被害は大きな問題となっています。昨年行われた調査では、オレゴン大学に通う19%の女子学生が性的暴行の被害を受けたり、受けそうになった経験があることがわかっています。そして、86%の被害者が大学側に何も報告していません。
(参考;http://www.latimes.com/nation/la-na-oregon-rape-201...)
バスケットボール選手を擁護するオレゴン大学
今年の1月に、バスケットボール選手3人にレイプされた女性が、オレゴン大学とバスケットボールコーチを訴えるという事件がありました。加害者のうちの一人ブランドン・オースティン選手は、2013年にロードアイランド州のプロビデンス大学に在籍していた当時、同じような性的暴行を行った疑いで停学処分を受けていました。しかし、その処分を受けた2ヶ月後に、オレゴン大学のバスケットボールチームが彼をスカウトし、編入させたそうです。そして、ブランドン選手は2014年の3月に再び今回のレイプ事件を引き起こしました。被害者の女性は、コーチが性的暴行の前科がある選手と知っていたうえで大学に編入させ、その事実をオレゴン大学の学生に隠蔽していたこと、さらにそれが新たなレイプ行為を生み出さしたことに対する責任を求めて大学とコーチに訴訟を起こしています。裁判では、被害者女性が2014年3月にレイプ被害を訴えたことに対し、大学側が5月まで何の対応もしなかったということも指摘されています。結局、事件後ブランドン選手は大学側から10年間の停学処分を受けましたが、現在はノースウェスト・フロリダ州立大学のチームに移籍してバスケットボールを続けています(1試合平均15点入れているほどの活躍)。この事件のあと、大学の対応の悪さは多くの人々から非難を受け、女性団体がデモや集会を開いて抗議を行いました。
キャンパス内で開かれる抗議集会
レイプ被害が大きな問題となっている私の大学では、性的暴行防止キャンペーンやデモ、集会などがよく開かれています。昨日も、「Take Back The Night-Eugene」という大規模な集会がキャンパス内で行われており、その後は街中でデモ行進が行われました。
集会中に配られたビラ
参加者がデモ中に叫ぶことばが記載されたカード
オレゴン大学の女性センターは、レイプ被害者にその被害を報告してもらおうとさまざまなキャンペーンを企画していますが、学生が安心して生活&勉強できる環境が整うまでにはまだまだ時間がかかりそうです。留学生活も残りわずかとなりましたが、それまで性的暴行に対する抗議集会やイベントには積極的に参加していこうと思います。
以上、アメリカで社会問題となっているキャンパスレイプに関するレポートでした。
読んでいただいた皆さんありがとうございました!!