Canpath
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人の温かさに涙したクリスマス

 今まで生きてきた中で、人の温かさに何度も触れ何度も感動してきた。しかし、これ以上に人が温かいと感じたことはない。といえるような体験談をお話ししたいと思う。
 私は、昨年9か月半の海外留学を経験してきた。2か国に渡りその中で出会ったのが、イタリア人「Deborah」である。彼女は私よりも3つほど年上で、いつも私を気にかけてくれる優しいお姉さん的な存在だった。学校が休みの日には他の友達と一緒に外へ遊びにでかけ、たくさんの思い出を作った。
 帰国する前に、どこかへ旅行しようと思っていた私はDeborahに相談すると彼女はすかさず彼女の家があるイタリア、ナポリへ行こうと言ってくれた。イタリアには興味があったし一人で旅をするのも寂しい。何より彼女と一緒にクリスマスが過ごせることが嬉しくてイタリア行きを決めた。
 イタリア語も話せない見知らぬ日本人がひょっこりきて、さそがし驚くことだろう。私はそれが、不安で仕方なかった。でも、そんなことを心配しただけ損だった。ナポリに着くと、彼女の両親が空港で温かく迎え入れてくれた。さらに、彼らは頑張って英語を使って私とコミュニケーションを取ろうとしてくれた。家に着くと、Deborahの大家族全員が私を盛大に出迎えてくれた。私のために、名物であるピザを用意してくれ、さらに「WELCOME TO ITALY」と書かれたケーキまで!このホスピタリー精神はどこからやってくるのか!とにかく「WOW!!!! THANK YOU!!」しか言えなかった。
 楽しい時はあっという間に過ぎいよいよ別れの時、もっともっと一緒にいたかったけれど、日本に帰らなければならない。また会おう!そう約束をしてバイバイを言った。ここからが私の悲劇の出来事の始まりである。
 タイムスケジュールをチェックするためにモニターを確認しに行った。イギリスのロンドンで二晩過ごしてから、日本に帰国する予定だった。もう長い間、日本の家族にも会っていなく彼らに会うのを心待ちにしていたのは言うまででもない。「ロンドン、ロンドン...ロンドン!!......CANCELLED...ん??DELAYED..キャ、キャンセル???!!!!!!」自分の目を疑った。飛行機が遅れることには慣れていたが、キャンセル!!ちょうど、ロンドンは大嵐で空港が閉鎖されてしまっていたのだ。クリスマスイブだったため、次のフライトは26日から、私の日本へのフライトは26日。チェックカウンターに行ったが彼らは何もできない。さて、どうしよう。Deborahとも別れてしまったし、途方にくれていた。イタリア語しゃべれないし!!!!この世の終わりかとも思った。泣きながらも、Deborahと何とか連絡が取れた。家に戻ったばかりだったのにすぐDeborahの家族と一緒に駆けつけてくれた。どうしようもないこの状況。なのにDeborahは「大丈夫、大丈夫私が何とかしてあなたをロンドンに帰らせる!ちゃんと日本に帰らせる!」そう言ってくれた。空港内を彼らは走り回り、ついに翌日、ローマからロンドン行きのチケットを手に入れてくれたのだ。クリスマスイブは、Deborahの家族と過ごすことになった。Deborahと一緒に過ごせることは嬉しかったが、正直複雑な気持ちだった。フライトが心配すぎて仕方なかった。そんな私を察したDeborahは「イタリアのクリスマスはとっても盛大なの。なかなか過ごせるものじゃないからよかったじゃない!それに、私はあなたとクリスマスが過ごせて嬉しいわ」と言ってくれた。さらに、ローマまでのタクシー代を妹と一緒に出してくれたのだ。ナポリからローマまで、地理感覚が鈍い私でも相当の距離があることは分かった。「そんな大きいお金だしてもらうわけにはいかない」そういうと「お金なんて関係ないの。私は、あなたに無事ロンドンに帰ってほしいの。お金より日本の家族に会えることが大事でしょ」そういってタクシーの運転手に直接渡しに行った。
 無事にフライトに間に合い、晴れて日本の家族と再会できた。帰国後すぐに、Deborahに連絡をした。彼女はただ「日本に無事帰れてよかった。家族に会えたことを聞いて私はすごく嬉しいわ」と言った。

お金で買えない価値がある

よくこの言葉を耳にする。この経験はまさしくこれである。
日本人は、ホスピタリー精神にあふれている。優しい。親切だ。と世界から評価されている。でも、今回のこと以上に感動したことはない。
大事な人のことを思いつくすこと。その人の笑顔をみるためにできる限りのことをすること。簡単なようで、当たり前にできる人は少ない。
私は、彼女と出会えて本当に良かったと思っている。自分がよくしてもらったからではない。彼女の優しさに触れて、自分の価値観が変わった。周りの大切なひとに対する思いや、お金では決して買えない意味あるものが私たちの周りにたくさんあることを気づかせてくれたこと。なにより、私は周りの当たり前だった環境に感謝することが多くなった。家族、友達、たくさんの出会いに対し素直に「ありがとう」と思えるようになった。
私は、今「おもてなし」と直接関わる勉強をしている。そして、将来はそれに関係した仕事につく。彼女から教わったことは、今の私が考えることの根底にある。

私が経験したことから、言えることがある。
「海外は自分を大きく成長させてくれる。」
困難があるたびに大きく成長できるチャンスが転がっている。思いがけない出来事が人生を変える。そんな経験してみても損はない。

帰国した時には、きっとその経験に「THANK YOU」と言えるようになるだろう。

この記事を書いた人

Akiko Okamoto
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