毎年、冬がきて夏がくると
「夏ってこんなに暑かった!?」と驚く。
冬は冬で、帰宅してこたつであったまると外は寒いことを忘れる。
なぜだ?
思えば
あらゆることを忘れて私は人生をすすんでしまっている。
情熱大陸をみるたび「私もストイックに生きよう」と思う。
一か月前の今頃は「毎日ディクテをしよう」と
意気込んでいた(ことをさっき思い出した)。
決心はしても
なまけもの代表まる子への魂の共鳴を感じずにはいられないし
今はディクテよりアメリカンエクササイズに時間をさきたい。
きっと忘れてしまったものたちは
「放っても先にいけるものたち」だったのだ。
そんなことに昨日の午後4時半過ぎ、
フランスの市立図書館のDVDコーナーで気づいた。
アンジェの図書館はDVDが豊富と評判。
ハリウッドからボリウッドまである。
『ハリウッドからボリウッドまで』
声に出すとすごく選択肢が少なそうに感じるふしぎ、
もっと良い例にしよう。
ハリウッドから松本人志まである。
貸出は一度に3本までなので毎回選りすぐる。
無料とはいえ、あと4か月弱で日本にかえるのだから
借りられるDVDの数は限られている。
どうせならグッとくるものがみたい。欲張りなのだ。
「放っておけない」映画に出会ったのは
今回の3本を決めたあとだった。
「話は暗そうだけど主人公の女性がとんでもなく美しい」もの、
「パッケージが愉快なスペインのコメディ」・「フリッツラングの映画」を手に見つけたのが
この映画
「アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ケーキ」
巨大ムサカがアテネの街を襲うギリシャのSF映画。
ムサカはギリシャ料理でナスと挽き肉を重ね焼いたもの。
なぜか邦題では「ケーキ」と訳されているけど
そんなこと吹っ飛ばすほど、映画自体ツッコミどころ満載である。
なんせ巨大ムサカが人々を襲うのだ。
こんなあらすじを読んでしまっては
見ないわけにはいかないのだ、変なもの臭がぷんぷんしている。
しかしよくばりDVDチョイサーの私は
「これは『グッとくる』映画なのか?」と自問自答し、
きっとそうではないと、棚に戻し、
元の3本を手にカウンターの方へ2歩進んですぐ戻った。
巨大ムサカDVDを手にして、「フリッツラングの映画」は戻した。
いいのだ。監督が巨匠だからという理由だけで(グッときそうだから)選んだものだったから。
それより
巨大ムサカを放っては先へ進めなかった!
逆にいえば「ストイックに生きること」も「ディクテ」も
私の基準では「放っても先に行ける」に分類されていた。
今アメリカンエクササイズを「放ってはおけない」のは
年末年始で蓄えられた脂肪がたえず目に入るのと
アメリカ女性による英語での励まし言葉がグッとくるからだ。
冬に、夏の暑さを忘れてしまうのは
そんなこと放っていても日々過ごせるからじゃないだろうか。
私がこのブログを書いている途中、
はだしが寒くなってスリッパを履いたり、
そしたらスリッパが暑くなって脱いだりを繰り返して、
靴下を履かないのは
記事を書きあげるのを放っては立ち上がれないからだ。
と書くとなんだかストイックな風にみえるが
実際はただめんどくさがっているだけで
ソウルメイト・まる子への共鳴を絶賛感じている最中である。