西オーストラリアの州都パースのバッパー(ホステル)からはじまった旅。個室のシャワールームから、ちょうど同じタイミングにでてきた人と鉢合わせ、トイレで人と鉢合わせる時にも似た、なんとも気まずい瞬間でした。ばったりはち会わせた彼と私がとっさにとった行動は日本人特有のアレ。
「会釈」
人と鉢合わせた時とっさに「どうも」と会釈をするのはやはり日本の文化のようです。このシチュエーションで他のアジア人、ヨーロッパ人が会釈をしているところは見た事がありません。
「もしかして日本の方ですよね?」
という会話から、シャワールームで少し立ち話。
2人とも同じ宿に数日間に泊まること。
彼(Masa)が世界一周中であること。
Masaは旅の詳細は決めてないこと。
初対面でのたわいもない話をしてその場は後にしました。
ちょうどこのとき私は、1週間ほど前にワーキングホリデービザを使ってオーストラリアに入国したばかり。最初に入国したケアンズは、オーストラリア大陸でいうと北東のほぼ熱帯にある小さな街。その時ケアンズは雨期で、鬱々としているのが嫌になり、雨の降らない街にいこう!ということで5日ほどの滞在のみで、東海岸の小さな街ケアンズから西海岸にある大きな街(西オーストラリアの州都)パースに飛んできたところです。
1年間その国で旅行をしたり、働いたりすることができるワーキングホリデービザ。私は最初に旅行をして、気に入った街に滞在しようと決めていました。なので、実は私も旅の予定はまったく決めていませんでした。
部屋は違えど、同じ宿に滞在していると、ふたたび顔を会わせる機会があります。たまに会っては情報交換などしているうちに、
「じゃあ、1週間ほどレンタカー借りて北の方行ってみません?」
旅程にしばられない旅行者が集えば、一緒に旅をしたりするわけです。こんな旅のスタイルはオーストラリアではよく聞きます。
そして、西オーストラリアの旅がスタート。ジンベイザメと泳げることで有名な西オーストラリアの街Exmouthを目指して。結局シーズンオフでジンベイ Swim はできませんでしたが、旅の途中で立ち寄った街、西オーストラリアの海の綺麗さ、自然の豊かさに感動の連続でした。
※西オーストラリア7日間のルート(Google Maps)
私は海外旅行の経験はありましたが、旅程のないその場で決めていく自由な旅は始めてで、世界一周しているMasaの話はかなり新鮮でした。行く先々で宿を決めて自由気ままに旅を楽しむ。そんなMasaとひょんなことから西オーストラリアを旅行することになった私にとって、それは自由な旅の仕方を始めて教わった時間でもありました。
そして、世界一周については直接経験者に話を聞いた時のリアリティは格別です。それまで世界一周旅行は少し変わった趣向の旅のひとつで、私自身にとってリアリティのないものでした。
もしあの時、偶然Masaにばったり会ってあの「会釈」がなかったら、その土地を自由に気ままに楽しむ旅はもう少し後になっていたかもしれません。そして、世界一周旅行はリアリティに欠けたままだったと思います。
世界一周、次は私の番になりました。これからスタートです!
それはきっとあそこで、あの「会釈」があったからこそ。
ありがとうMasa!