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Rightか Privilegeか

今日の講義で興味深い話があったので、忘れないうちに書き留めたいと思います。

筆者はPublic Policyの講義を履修しています。理由としては、将来の進路の一つとして考えているのが国家公務員という職であることと、ディスカッションベースの講義で英語力を鍛えるためです。教授は毎回様々な具体例を出しながら説明するため、アメリカについて知識の足りない筆者を苦しめてくれます笑

今日の講義では、Health Insuranceについての話がありました。アメリカでは2010年に議会を通過したAffordable Care Act、通称「オバマケア」が大きな医療制度の改革となっています。アメリカでは日本と違い、国民皆保険ではありませんでした。この改革によって、今まで無保険であった国民も民間保険を購入することができるようになりました。ここで興味深いのが、結局保険システムを民間会社に頼っていることです。もちろん公的保険システムはありますが(メディケアなど)、公的保険に全員加入することが義務付けられている日本とは状況が異なります。

ここで表題の話になります。医療保険は国民の「権利」なのか「特権」なのか。「権利」と「特権」の違いについては、「権利」は「生来人が持っているもので、奪われることはあってはならない」、「特権」は「誰かから与えられるもので、場合によっては奪われることもある」という理解をしています(筆者のポンコツ英語力での理解です)。もし医療保険が権利であるならば、それに多額の費用がかかろうが政府は実施する必要があります。憲法はかじった程度ですが社会権的思想なんですかね。しかし医療保険が特権であるならば、政府は状況によっては医療保険を提供しないことも選択肢として考えられます。講義ではミニディベートのように、意見のある学生が立場と理由を述べていました。

日本では、医療保険は権利として考えられていると個人的に思います。国民皆保険制度はもちろん介護保険制度もあり、基本的にどの医療機関に行っても同一のサービスが同料金で受けられます(初診が大学病院というようなケースでは追加料金がかかりますが)。この話は日本では当たり前のように受け入れられており、筆者も特に疑問には思いませんでした。しかしアメリカでは、医療保険制度が特権であると考える人もいます。講義でも特権側からの意見を述べている人がいました。自分と違った視点からの意見で興味深かったです。

筆者が留学前に参加した、厚生労働省のテーマ別説明会にて、国民皆保険制度は世界でも注目されている制度だというお話を伺ったことがあります。留学して初めて、その言葉を現実味を以て受け止めることができました。こうした視点を持つことができたのは非常にありがたいですね。

結論としては、日本で常識だと思っていたことが海外では違ったというありきたりなものになってしまうのですが、自分の学問領域で過去の経験と繋ぎながらの違いの実感でした。できればクラスの学生に、日本の社会制度との比較について意見を表明していきたいと思います。

この記事を書いた人

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Ryo Ichikawa
現在地:日本
東京都の片田舎出身 早稲田大学先進理工学部→創価大学経済学部 University of Massachusetts, Boston 統計学・計量経済学 ダーツ トビタテ!留学Japan3期生 交換留学

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