概要
2016年7月19日~8月18日の約1ヶ月間、北京語言大学に短期留学をしてきました。以下その体験報告です。参加したプログラムは去年と全く同じもので、基本的なスケジュールは変わりません。今回の目標は語彙の増量とリスニングの強化、HSK5級の合格でした。移動について
今回も格安航空券を探していましたが、運良くJALのチケットを取れました。羽田から、北京国際空港、北京国際空港から成田、往復共に直行便で快適な空の旅でした。北京についてからは荷物も多かったのですが、乗り継ぎを把握していたこともあり、空港から空港鉄道に乗り、東直門駅から地下鉄に乗り換えて五道口に向かいました。ホームから改札階までのエレベーターが全て使えなかったことは想定外でしたが、階段に突き当たる度に通りがかった男の人が荷物を持ってくれました。何度訪れても暖かい国です。生憎の雨でしたが、駅の入り口でおばちゃんが傘を売っていたので無事濡れることなく大学にたどり着きました。タクシーを利用しても100元(約1600円)程度ですが、電車だとその半額以下で済みました。五道口から大学まではそれほど歩きません。
写真は五道口から大学に向かう道です。この横断歩道では毎回命がけのサバイバルが繰り広げられます。
- 学校生活について 去年と同様に、授業の始まる前の日にレベル分けテストが実施されました。テスト内容も大きくは変わりませんでした。去年もこのプログラムに参加したこと、Bクラスを修了したため今年はCクラスに参加したいと思っていることを伝えると試験が免除されました。その日はゆっくりと大学を見て回り、久しぶりのキャンパスを楽しみました。翌日から張り出された名簿に記載されている教室に向かうと、テキストが配布されてすぐに授業が始まりました。去年と比べて先生の話すスピードも抜群に早く、英語で言い直すこともない、ほぼオールチャイニーズの授業でした。初めは聞き取れない箇所も多く、不安を感じましたが、事前に本文の新出語彙を確認してから授業に臨むようにしたところ格段に理解しやすくなりました。毎日あったスピーキングの授業は新しい課に進むごとに作文の課題が出され、適度な緊張感が保たれておりとてもよかったです。ただリーディングの授業は単調で可能なら他の先生に変えたいと思う内容でした。テキストの水準は合っていたので、今後の自主学習に利用したいと思います。リスニングの授業はテキスト付属のCDを授業で流して、問題を解く形をとっており、特にこれといって解説のない授業で疑問を抱きましたが、授業の後半で実際に中国のバラエティ番組やドキュメンタリーを字幕付きで見せてもらえる時間があり、興味を引きました。語学学習において積極的にその国の音を耳に入れることが重要であることについてはわたしも心から賛同できるので、中国の放送を色々と教えてもらえたのはありがたかったです。
学校の敷地は広く、校舎は中心部に密集していますが、外側は小さな町のようで、カフェや食堂、八百屋、ジューススタンド、たばこ屋など様々なお店が並んでいます。
大きな建物の中には銀行や書店も入っており、北京語言大学出版の中国語学習用テキストが充実しています。HSKの過去問集や単語帳も揃っており、日本よりもずっと安く買えます。
- 寮生活について 去年の経験から留学生用の宿舎のうちどの棟がどうなのか把握していたので、寮の部屋を予約する際に、個人のシャワー室、トイレが完備されている部屋を希望することを明記しました。結果4号館の部屋を用意していただけました。基本的に校内最大の17号館の設備が最高ですが、その分宿泊費がかさみます。平均的な宿泊費の宿舎の中でもっとも環境が良好なのが4号館。ここの部屋が取れたことをメールで知った時にはほっとしました。(去年滞在したのは9号館。環境適応能力が高いのですぐに慣れますが、もう一度と言われるとさすがに気乗りはしません。)
部屋にはシングルベッドと机と椅子が2つずつ。ベッドの下に収納があったり、部屋の入り口に大きなクローゼットが設置されているなど、長期留学の学生にも対応しています。わたしは1ヶ月の滞在だったため、机周りのスペースだけで十分に過ごすことができました。部屋には小さな冷蔵庫とテレビ、ケトルが置いてあります。多くの学生は飲み物程度しか入れないので二人でも十分に余裕がありました。シャワー、トイレ、洗面所は同じ場所にあります。韓国で慣れているので問題ありません。シャンプーやトイレットペーパーはありません。1ヶ月滞在するなら3ロール持って行くと安心です。ここ数年で空調の設備が進んでおり、部屋は快適でした。毎日清掃員の方がゴミ箱を空にしてくれます。週に1回ベッドのシーツを全て取り替えてもらえるのでとても清潔です。フロアごとに洗濯室があり、いつでも自由に利用することができます。利用する際にはフロントで洗濯機用のICカードを受け取る必要があります。洗剤は置いてないので持参。わたしは日本からボールタイプの洗剤を持って行きました。1回に1粒なのでとても楽でした。部屋には Wi-Fi がしっかりと届いており、インターネット環境も良好でした。
- 北京での暮らしについて 滞在した1ヶ月のうち最初の2週間を共に過ごしたルームメイトが、すでに数年滞在し、ここの大学を卒業して帰国するまで少し長めに滞在していた韓国のお姉ちゃんで、すぐに打ち解け、北京市内の色々な場所に連れて行ってもらいました。おかげで一気に地下鉄の乗り換えに慣れ、北京市内の路線が頭に入りました。北京市内の移動には交通カードが欠かせません。東京の Suica や Pasmo にあたる ICカードです。運賃は2元(約32円)からで破格です。交通費が全く問題になりません。気軽に乗れてとても良いです。ただテロ対策のため駅に入る際には荷物検査が必須です。常に複数の警備員が配置されており、厳重に警戒されています。地下鉄構内やホームはソウルの地下鉄によく似ています。隣り合った駅とその路線の表示しかない場合が多いので、乗り換えに困ります。路線図は常に携帯しておくべきです。 基本的に中国国内産のものはジャンルを問わず安いですが、輸入品になると一気に価格が跳ね上がります。日用品はなるべく中国のものを使うようにすると生活費を節約できます。食事は学内の食堂が良心的な価格で十分に美味しいので一番多く利用しましたが、外に出ても、日本で言う表参道や六本木のような場所にまで出なければ、それほど高額な飲食店はあまりありません。北京の中華料理店では基本的にパクチーが入りますが、オーダーする際に確認してもらえることがほとんどなので、苦手な人は不要であることを伝えれば問題ありません。わたしはパクチーが大好きなので断りませんでした。ルームメイトのすすめで、魚豆腐や鴨の腸を食べましたが想像以上に美味しかったです。現地ではなるべくよくわからないものを食べるべき。思わぬところで好物が増えます。 天津に住む友人と連絡を取って、遊んだりしました。去年は北京が初めてだったこともあり、大学の最寄り駅である五道口駅まで迎えに来てもらいましたが、今年は中間地点の永安里駅で集合しました。五道口から永安里までは乗り換え2回。自分の成長を感じた時でした。中国で使えるSIMが入っておらず、Wi-Fi下でしか携帯を使うことができないため、待ち合わせの時間まで指定された出口でじっと待つという古典的な待ち合わせでした。Reunion を経て、永安里のデパードをぶらぶらと巡り、ご飯を食べて、カフェでお茶をしたりして過ごしました。中国の同世代の女の子たちと彼女たちの暮らしを体験できてとても楽しかったです。中国のホスピタリティなのかお金は一切出させてくれません。友人二人のうち一人はこの夏から東京に留学でくるので、この恩はきっと返します。 休日を利用して市内の観光もしました。ルームメイトとは孔庙和国子监博物馆と雍和宮に行きました。8月には母と弟が旅行で北京に来てくれたので3人で景山公園を訪れました。頤和園は去年クラスメイトと行ったので、北京市内の主要な観光スポットはある程度抑えられた気がします。(もちろんまだまだありますが)
市内ではよく無料Wi-Fiが飛んでいますが、大体は電話番号を入力してSMSで送られる認証コードを得て接続するタイプ、もしくはwechatのアカウントでのログインが主だったので、日本から一時的に旅行で行く場合だと前者の方法では繋げることができません。現地の人と会うことがあれば、代わりに設定してもらうことも可能ですが、基本的にはwechatを使うことになります。wechatのログインにも認証コードがありますので、日本にいる間にアカウントを作成、アプリをダウンロードしてログインした状態で渡中することをおすすめします。この方法で何度かWi-Fiに接続できたので助かりました。中国滞在中にtwitterやinstagramなどのSNSやGoogleを利用する際はVPNが必要になります。これは事前に日本で設定しておくことも可能ですし、VPNを自動で起動するアプリケーションもあります。いくつか方法があるので必要な方は確認してください。
- まとめ 今年も10月にHSKの5級を受ける予定です。今年は滞在初日から中国語だけで疑問やトラブルを解決したり、欲しいものを買ったりすることができ、中国語能力の成長と、中国での暮らしへの慣れを感じました。授業ではより実生活での会話スピードに近い口語を聞き取る訓練ができましたし、テキストの進出語彙はほとんど初めて見るものが多く、語彙も増えました。去年の物を買う、道を尋ねる、といった単純な会話が主でしたが、今年は部屋を掃除しに来てくれた清掃員のお姉さんと立ち話をしたり、授業が終わったあとに先生と会話したり、クラスメイトと中国語で話したりと、中国語後を使う機会が多く満足のできる1ヶ月でした。有り余る時間のほとんどを睡眠に使ったことは浅はかな判断ながら、忙しい東京生活からの離脱という意味では嬉しくもあり、心身共に休まりました。滞在中に読んでいた莫言の「白檀の刑」には北京で地下鉄の駅の名になっている地名が多く登場し、臨場感を味わうことができます。北京を訪れる予定のある方には携帯する文庫本としておすすめしたいです。1ヶ月はあっという間に思えて意外と長いです。言語を鍛えて、ゆっくりと本を読み、食べたことのないものに挑戦して、勉強に集中する、とても有意義な時間でした。長期休暇を利用して海外でまとまった期間生活するというのはとても合理的に思えます。こういったプログラムがあることを知れたという意味では自分の大学に感謝したいです。冬学期(春季休暇)も3週間ほどどこかに滞在して勉強したいなと思っています。しっかり貯金をして次に備えたいです。可能なら次は言語だけでなく、歴史や文化に関わる授業も履修できるコースに参加したいのでもう少しよく調べてみようと思います。