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Nutrient Budgeting

みなさん、こんにちは!めぐみです!

先週初めての試験期間が無事に終了しました。感想としては「物事を論理的に捉え、思考をどれだけ展開できるか」が非常に重要視されていると思いました。レポートのお題は比較的オープン(自由)なものが多く、授業で学んだ内容の中で自分が興味を持ったものをひたすら掘り下げて考えていく感じです。1本のレポートを書くのに、だいたい専門書10冊以上、論文20~40本はみんな平均で読んでいるな、という印象です。まだまだ英語の論文を読んだり、思考を広げたり、英語でレポートを書くのに時間がかかってしまいますが、徐々に慣れていきたいです。

最も大変だったレポートが"Nutrient Budgeting". 訳すと「栄養分の見積もり」という感じです(訳が不自然すぎる笑)。植物の成長に必要な3大要素である、N(窒素)・P(リン酸)・K(カリウム)が実際にどれほど農場に投入され、どれくらい農場から出て行き、結果として1年間にどれほどのNPKの増減が生じるのかを計算しました。

South Lough Farmという農家を訪問し、外から農場へ搬入されるもの(種や農薬・牛のエサなど)と、農場から外へ搬出されるもの(牛乳や牛ふんなど)の聞き取り調査を行いました。その結果がこちら。

case study.gif
  
これらの情報に加えて、環境的要因も考慮します。この農家のある場所は1年間に1haあたり、25kgの窒素, 0.03kgのリン酸, 3.3kgのカリウムが大気から堆積されます。これは英語でAtmospheric Deposition(大気による堆積)と呼ばれています。さらに降水量や標高、土の種類なども計算していきます。そして求めた計算結果がこちら!

Case Study 1 - Nutrient Budgeting Result.png
  
結果として161kg/ha(計6,842kg)の窒素が毎年蓄積されていることが分かりました。0~50kg/haの増加が理想とされており、農薬による窒素の多量投入が分かりました。この蓄積される窒素(投入される窒素ー搬出する窒素)のうち75%以上は雨や風化によって失われることが研究の結果明らかになっており、また窒素の流出が環境汚染・土壌の酸性化・富栄養化・低酸素症などの原因に繋がります。よって農薬量を抑えることが環境的にも経済的にも良いということが言えます。

リン酸・カリウムについては、増減が±5kg/ha以内が良いとされています。リン酸の多量蓄積はヒ素やカドミウムの作物への含有を促進していまい、人間の身体に影響を及ぼすため、好ましくないとされています。

Case Study - Nutrient Budgeting Improved Result.png
  
農薬や化学肥料の投与を無くしたものの結果がこちら。窒素のバランスが50kg/haに大きく減少しました。NPKの残余量の計算方法や、それが環境や人間に及ぼす影響を今回のレポートで学ぶことができ、本当に良かったです。
  
  

IMG_2323.JPG
  
自動乳搾り機。牛が乳を搾ってほしい時にやってきて、完全に自動で搾ります。なので牛へのストレスが軽減されるそう!牛の自動認識や牛乳の成分分析も自動で行います。何時間でも眺めていられそうなほど面白かったです(笑)
  
  

この記事を書いた人

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長尾 愛
現在地:イギリス
トビタテ!留学JAPAN 2期生 Australia/WWOOF UK/Newcastle University/NEFG(Nafferton Ecological Farming Group) 英国ニューカッスル大学 大学院生 Organic Farming and Food Production Systems 練習のため、英語でも書いていきたいです!

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