先月、NASAの探査機・ニュー・ホライズンが冥王星を通過しました。宇宙系や天文系の私たちにとっては一大イベントでした。在オーストラリアアメリカ大使館主催がその記念(?)として開催した冥王星のサイエンス・パブに行ってきました。日本ではサイエンス・カフェはよく聞きますが、こちらではパブなんですね。アイルランド系のパブでワインやビールを片手に参加者たちは話を聞いていました。
講演者は宇宙膨張の研究でノーベル物理学賞を受賞したオーストラリア国立大学のブライアン・シュミット教授、キャンベラ深宇宙通信施設のグレン・ネーグル氏、スウィンバーン大学のアラン・ダッフィー博士。ユーモアたっぷりのトークとQ&Aセッションを楽しめました。
9年以上旅をしたニュー・ホライズンは2015年7月14日に冥王星に最接近し、冥王星のデータを取りながら通過しました。もちろん、ティドビンビラにあるキャンベラ深宇宙通信施設でもニュー・ホライズンのデータ受信などをしていました。
今回の最接近でわかった冥王星のこと
- プレートの運動はない。でも3kmの高さを誇る山、9kmも深い谷がある。
- 太陽から遠く、冷たい惑星。でも大気がある。
- 冥王星の色は白ではなく黄みがかっていた(まさにディズニーのプルートー)
- うすーい大気があった
他にも豆知識として
- Plutoの名付け親は11歳の女の子だった
- 惑星の名前から付けられた元素の名前:ウラン(天王星)、ネプツニウム(海王星)、プルトニウム(冥王星)
なぜ冥王星は惑星ではなくなったの?
質問タイムには大人たちがニュー・ホライズンの詳しいことや冥王星の地形などの質問をしている中で、子供が
「なぜ冥王星は惑星ではなくなったの?」
と誰もが聞きたかった質問をした。
2006年に国際天文連合で決議された「太陽系の惑星の定義」は
1.太陽の周りの軌道上にある
2.ほぼ球形の形を保てるほど質量がある
3.近くの他の天体を一掃している
のすべてを満たしている天体。
残念ながら冥王星はこの基準を満たせなかったのです。
ブライアン教授はこの定義に反対だったそうで、総会の決議時には反対票を入れたそうです。(たとえば冥王星が水星くらいの軌道にあったら惑星になってしまうし、海王星が今の軌道の3倍遠くを回っている場合は惑星でなくなってしまう(らしい)。だからこの定義はうやむや・・・なんだとか)
今回の冥王星フライバイで取れたデータはまだ1%しか地球に通信できておらず、全データを取得できるのは16ヶ月かかるそう。まだまだ知らないおもしろいことが明らかになっていきますよ。